【夢日記】3月21日の夢「村の設計」
時代は不明だが、まだ畑を耕して動物を狩って生活しているような、村。
村を、上空から探している。
鳥のように飛んでいるわけではない。映像を見ているかのように、バッと景色が流れるだけだ。自然をテーマにしたテレビ番組の冒頭映像のようである。
どこまでも生い茂る木々に、シムシティを思い浮かべる。縄文時代から始めて近未来まで都市をつくるシミュレーションゲームだ。やりたくなってきた。
暫く探していると、木々が開け土地が見えた。畑と、道と、藁でできた数軒の家がある。村だ。
その村から少し離れたところに降り立つようにして、私の視界が安定する。
目の前に一人の青年がいた。ぽっちゃりというべきか、ガタイがいいというべきか、体の大きな男性だ。歳は20代真ん中あたりだろうか。
紙のようなものを持ってうろうろしている。設計図か?
「こんにちは」
声をかけると、話しかけられると思ってなかったのか、彼は驚いたようだった。
何をしているのかと尋ねると、村を作っているのだと言う。新しい村を設計しているらしい。
「村人はどちらへ?」
「そこのファミレスにでもいるんじゃないかな」
風景に似合わない単語に、ファミレス、と思わず復唱してしまう。するとどこからともなく見慣れたファミレスが現れる。
思った通り風景に似合わないが、彼以外の村人はここにいるようだ。
「一緒に作ればいいのに?」
「彼らには嫌われているのさ。村の設計も反対されている。俺より適任だと言われている人もいる」
「そうなのか」
雰囲気だろうか。失礼だが確かに私も好印象ではない。
フォローできずに黙っていると、だろうな、と返ってくる。
-+-+-+-
彼が設計に戻り、私はファミレスへ向かった。
外から見た建物の割に店内は狭く、一本の通路の片側に三つほど席があるだけだった。それぞれ客が座っている。彼らが村人だろう。
「こんにちは」
声をかけると皆笑顔で返してくれる。
手前にいたのはカップルのような男女だ。髪の長い美人な女性が、この人は村の外から来たのだと男性を紹介してくれる。
「この村の女性を取材しに来たのよ」
「ここは美人が多くてね」
ふむふむ。なるほど。
しばらく世間話をしてから、彼らに手を振って隣の席へ向かう。
挨拶をすると、こちらも笑顔で返してくれた。二人組の若い女性だ。
「私も取材されたの!」
確かにこの村の人は美人や美少女が多い。彼女たちも可愛い。
こちらもふむふむと世間話をし、手を振って最後の席へ向かった。
最後の席は窓際だった。窓の方に男性が二人、向かいの席に女性が一人。
男性のうち一人は細身の若者だ。大学生と言われても頷ける。
もうひとりはがっしりとした体型で、嫌われ者の青年よりも筋肉質だ。体育会系というやつだろうか。歳は30代手前に見える。
女性の方は終始黙っていたので印象にない。
「こんにちは」
「こんにちは、村の外から来たんだね」
この席に来るまでの間あまり有益な情報を得られなかったので、すぐに本題を切り出す。
私「彼の設計を手伝わないのか?」
体育会系「嫌われ者のことかい。そもそも村の設計は僕がやる予定なんだ」
細身「それにあいつには関わりたくない」
随分と嫌われているようだ。話すのも嫌らしい。
そこまで嫌われている人を見ると、なぜか逆に愛着が湧いてくる私である。いつの間にか説教を始めていた。
嫌われ者の彼とは少ししか話していないのに、まるで長年知り合いだったかのように、彼がいかに素晴らしい設計をしているのかを説いた。
始めは反論していた体育会系の男性も次第に言葉を失い、最終的に納得してくれたようだ。
私は随分と興奮していたのか、むきになって一気に捲し立てたせいで息が上がっていた。
体育会系の男性は、細身の男性を連れて嫌われ者の彼のところへ向かうようだ。
無事に仲良く村を作れるといい。
そう思いながら意識を現実へ引き上げる。
現実の私も、まるで持久走の後のように、ぜいぜいと呼吸が荒くなっていた。